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社会人2年目に突入。岐阜、石川と過ごしてきて今は千葉で社会人。
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 先日は第2章の始めぐらいまでしか読んでいませんでしたが、さらに読み進めると、「メタアナリシス」まで登場して、ある治療法に対する評価法というのはどれだけ厳密に行われているのかがわかります。

この本では、鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法について、その治療効果を「臨床研究」の結果に基づいて評価します。

少し効果があると言えるのは鍼、カイロプラクティック、ハーブ療法ですが、現在ある通常医療の治療を超える成果は挙げられず、また、費用もかかることがあるため特にオススメはしていません。ホメオパシーに関しては効果がなく、費用もかかるためオススメしていません。

また、効果がある、ないだけでなく、リスクについても言及しています。行われる代替医療自体にリスクがあるのがカイロプラクティックは首に脊椎マニュピレーションが行われた場合脳卒中を起こし死亡する危険性があります。さらに、代替医療でガンが治る、といったことを信じて、通常医療を受けないことで治るべき疾患が治らず、命を落とす例にも触れています。

プラセボ効果の重要性にも触れており、代替医療の効果がプラセボ効果でもいいじゃないかという意見に対しては、通常医療にもプラセボ効果は存在し、それは、実際に効果のある医療に上乗せされるプラセボ効果となるので通常医療の方がいいのではないかと言っています。

この本で注目すべきは、とにかく根拠に基づいて評価している点。気の流れや脊椎のズレから喘息やガンが起こるといった話を頭ごなしに否定するわけではなく、実際に行われている代替医療が治療効果のあるものなのか?この点からスタートしています。過去の医療でもなぜ効くのかはわからないがとにかく効果的に治療法が先に見つかり(壊血病の話)、その後、なぜ効くのかを明らかにしたことはあります。代替医療に対してもそのスタンスで評価し、結果としてほとんど効果がないと結論付けているのです。

著者は、通常医療が評価されるためには何度も臨床試験が繰り返され、効果、再現性が確認されています。現在の代替医療はそのような手続きがなく患者の治療にあたっていることに問題を感じているようです。



以後、気に入ったフレーズです。

☆(プラセボ効果が高くなる要因)医師の評判が高いこと、治療費が高いこと、治療法が目新しいことという三つの要素が、とくにプラセボ効果を高めると結論した。
☆逸話の複数形はデータではない。
☆メタ・アナリシスは確率的誤差と、選択バイアスを最小化する
☆相関と因果関係とを混同してはいけないことがよくわかる。
☆代替医療の施術者の多くは、患者とのあいだに非常に良い関係を築き上げており、それ以外には効果のない治療のプラセボ効果を最大限に高めるのに役立つ。

特に最後の、患者との良好な関係についての記述は興味深く、自分はこれができているのかな?と思い、自分を見直そうと思います。



できれば、医療に関係のない人に読んでもらい、医療の評価がどれだけ厳しい手続きを経ているのかを知ってもらいたい1冊です。

代替医療のトリック/サイモン シン

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1985/01/20
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音楽、読書、映画、さんぽ
自己紹介:
岐阜で18年間育ち、その後金沢で6年、今は千葉で薬剤師として細々と働いています。イチ薬剤師で終わるのではなく社会にインパクトを与えられる人間になるため日々鍛錬しています。
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